26日の新聞に「ロタウイルスの定期接種化」について載っていました。以前から、ロタウイルスの定期接種について議論をしている話はありましたが、ついにという気持ちです。
来年の8月以降に生まれたお子さんは定期接種(無料)で接種できるようになるそうです。ロタウイルスワクチンは腸重積などの副反応がまれに起こることがありますが、非常に感染力の強いウイルスですし、ワクチンで予防していただくことは非常に重要です。現在名古屋市は予防接種の助成をしていますが、それでも一人当たり総額で12,000~13,000円ほどかかります。
ロタウイルスの胃腸炎は、0歳から6歳頃にかかりやすい病気で、非常に感染力が強く、激しい症状が出ることが多く、水のような下痢や吐き気、嘔吐、発熱、腹痛などの症状があります。ロタウイルスは、ふつう5歳までにほぼすべての子供が感染すると言われています。大人はロタウイルスの感染を何度も経験しているため、ほとんどの場合、症状が出ません。
ロタウイルスは、ロタウイルスが口から入ることで感染します。ロタウイルスは患者の便に大量に含まれており、患者の便を処理した後、たとえ十分に手洗いをしても、手や爪に多量のウイルスが残っている場合があり、ロタウイルスがついた手から感染が広がっていきます。
ロタウイルスに感染した場合、特に小さなお子さんの兄弟や高齢者の方がご家族にいる場合、感染をさらに広げないよう工夫が必要です。ロタウイルスはアルコール消毒ではあまり効き目がないので、お子さんのオムツ交換の時にゴム手袋をつけたり、手洗いを徹底することが必要です。手洗いは指輪や時計も外し、30秒ほど念入りにもみ洗いしてください。ロタウイルスは非常に感染力が強いので、ここまでしても完全にウイルスを除去することは不可能です。
現在、ロタウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、ロタウイルスにかかった場合の治療法は脱水を防ぐための水分補給を行い、症状がひどい場合は点滴を行う場合もあります。下痢止めは病気の回復を遅らせることがあるので、使用しないこともあります。
今まで、ロタウイルスは予防接種の費用が高いために、接種しないことを選択される方も多く、早く何とかならないかと思っていました。家庭の経済状況によってワクチンを打てる方と打てない方が出てしまうのは非常に残念なことであったので、個人的には定期接種になることは歓迎すべきことだと思います。
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