肺気腫(COPD)

「COPDは肺の生活習慣病です」

階段など運動すると息苦しさがあります

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、長期間の喫煙などによって引き起こされる、「肺の生活習慣病」です。肺の機能が低下すると、咳(せき)や痰(たん)が増え、息苦しさや息切れが続きます。坂道や階段などで息切れや息苦しさを覚え呼吸困難になる方で、10年以上喫煙をしている方の場合、まずCOPDを疑います。COPDは不可逆的であり、治療をしてよくなるものではありません。
 「肺気腫」や「慢性気管支炎」と言われていた肺の病気もCOPDに含まれます。

「息切れする場合はセルフチェックを

 風邪をひいているわけではないのに咳(せき)や痰(たん)が出たり、運動しているわけではないの息切れや息苦しさを感じる場合は、COPDかもしれません。
 まずは以下のセルフチェックをしてみましょう。3つ以上に当てはまる方はCOPDの可能性があります。 

セルフチェック表

たばこを吸っていて(もしくは以前吸っていて)いくつかの症状が当てはまる方は、COPDの可能性があります。早めに受診してください。

「一番効果的な治療は禁煙です」

 COPDの90%以上は喫煙が原因と言われています。そのため、COPDの治療は”禁煙”が一番大切です。
 禁煙する自信がない方は当院の「禁煙外来」を受診してください。一定の条件を満たせば、健康保険が適用されるため、比較的少ない負担で禁煙治療を受けることができます。


 肺気腫ってどんな病気?
健康な肺胞とCOPDの肺胞

 肺気腫とは、本来の肺構造が破壊されて空気がたまってしまい、うまく息が吐けなくなる病気です。肺気腫を発症すると少し歩くだけでも息苦しくなります。そもそも、鼻や口から吸い込んだ空気は気管や気管支を通って肺へ送られます。そして、肺の中の肺胞と呼ばれるところへ到達します。肺胞はぶどうの房のような形をしており、その一つ一つには空気が含まれていて、酸素を血液中に取り込んだり、二酸化炭素を排出するはたらきをしています。肺気腫は、その肺胞一つ一つの壁が壊れてしまった状態になっています。組織が破壊されると、空気がたまりうまく息が吐けず、息苦しくなります。心臓に負担もかかりやすくなるため、心不全を合併することもあります。。

 肺気腫の原因は?
肺気腫の原因はたばこです 一番の原因は”たばこ”です。たばこによって肺胞の組織が破壊され、空気をうまく外に押し出せなくなり息苦しくなります。
 しかし、肺気腫はたばこを吸っている人がすべてなる病気ではありません。喫煙に遺伝的要素が重なって発症する場合もあります。
 また、大気汚染や生活環境が原因になることもあります。
 肺気腫の症状は?
肺気腫の代表的な症状は息苦しさです 肺気腫の症状は主に「息苦しさ」です。息苦しさ以外にも、咳、痰といった症状も現れます。
 どんなときに症状が出るの?
息苦しさは運動するとでてきます 動くと息苦しくなります。季節変動はあまりありません。休むと症状は改善します。
 喘息の治療はどんなことをするの?
肺気腫は症状の緩和を目指します 診断は、一般的に胸部レントゲン写真とCT写真、呼吸機能、血液検査などから総合的に判断します。
 肺気腫と診断された場合、治療の第一歩は「禁煙」です。禁煙をしないと肺気腫の治療はいくらやっても効果がありません。
 肺気腫は、不可逆性であるため、治療方針としては、今後の症状進行を防ぐことと、症状の緩和を目指します。
 治療は、気管支拡張薬や気道のクリーニングのために痰を切れやすくする薬を内服してもらいます。症状によっては、抗生物質の点滴や利尿剤など、原因に見合った治療も行います。
 また、場合によっては酸素の吸入が必要になることもあります。