「在宅酸素療法とは 」
「酸素療法」とは、肺に慢性的な呼吸障害があり、肺から酸素が十分に取り込めない患者さんに対し、機械を用いて直接酸素を吸入する治療法です。酸素療法を自宅で実施することを、在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy)といい、HOTともいいます。慢性的な呼吸障害を抱える患者さんの病気は、COPD(肺気腫)や気管支炎、結核の後遺症、間質性肺炎など様々です。
在宅酸素療法の場合、自宅では大気中から酸素を濃縮させる装置を用いることがほとんどです。外出する場合は、携帯用の酸素ボンベをから吸入します。当院では、在宅酸素療法の管理を行うことができます。
定期的に確認や指導をします
在宅で使用する在宅酸素の機器は、主治医が患者さんに最適な医療機器を選択し、医療機関を通じて患者さんにレンタルされます。レンタル会社さんが患者さん宅に医療機器を設置し、ご本人やご家族に使用方法、お手入れ、緊急時の連絡先、定期点検などを詳しく説明してくれます。主治医は、定期的に外来または訪問診療をし、在宅酸素の使用感やADL低下がないか、確認・指導をします。
健康保険が適用されます
在宅酸素療法は基準を満たせば健康保険が適用されます。その場合、医師が外来・訪問診療する診療費や、医療機器をレンタルする費用にも健康保険が適用されます。
- 呼吸障害とは
- 肺に慢性的な障害があり、肺から酸素が十分に取り込めないことで、COPD(肺気腫)や気管支炎、結核の後遺症、間質性肺炎など様々です。体の中の酸素が不足すると、次のようなことが起こります。
■息切れのため運動不足や栄養不良となり、呼吸筋や手足の筋肉がやせ、さらに呼吸がうまくできなくなる
■心臓に負担がかかり、心不全や肺性心を引き起こす
■日常生活の維持が難しくなり、色々な障害が起こりやすくなります。。 - 治療にかかる費用
- 在宅酸素療法は、基準を満たせば健康保険が適用されます。患者さんの自己負担分の費用で治療を受けることができます。
また、医療保険には、高額療養費制度や高額介護合算療養費制度などの医療費の助成制度があります。患者さんの所属している医療保険の負担割合や、年間の収入などによって、治療にかかる費用は変わります。お気軽にお問合せください。 - 在宅酸素療法の効果
- 在宅酸素療法の効果として、以下のようなことが挙げられます。
■息切れが軽減し、生活範囲が広がることが期待できます。
■肺や心臓への負担を軽減します。
■睡眠中の酸素不足を軽減し、睡眠の質が向上することが期待できます。
■頭痛やイライラ、注意力不足などの症状が改善されます。 - 酸素の量について
- 在宅酸素療法で吸入する酸素の量は、パルスオキシメーターを用いて、血液中の酸素量を把握して、処方する酸素量を決定します。酸素の量や吸入時間は、歩行・入浴・睡眠など生活の実態に応じてきめ細やかに設定をおこなうことが大切です。
在宅酸素療法は、医師と患者とのコミュニケーションが大切です。酸素流量の範囲を自分で調節できるように医師と確認することも重要です。指示された酸素流量を超えざるを得ない場合は必ず医師に相談し、自己判断で変更することは危険ですので絶対にやめましょう。
酸素は薬と同じです。処方量を守って吸入し、体の中の酸素の状態を適正に保ちましょう。
- 在宅酸素療法の流れ
-
①医師による診断
問診や検査等により総合的に在宅酸素療法が必要かどうか判断します。
②在宅酸素療法について説明
患者さん本人や、ご家族に在宅酸素療法について説明し、理解していただくよう努めます。また、症状に合わせて酸素流量・吸入時間を決定し、機器の使い方や注意点を説明します。
③機器設置
患者さんの症状から医師が機器を選定します。在宅酸素機器レンタル会社が患者さんのお宅へ伺い、設置します。
④定期的に症状を確認します
医師が、外来や訪問診療を行い、患者さんの状況を把握し、在宅酸素療法を導入後の経過を定期的に確認します。