高血圧症

高血圧とは140/90mmHg以上です」

高血圧とは

 高血圧とは、診察室で 計測する最高血圧が140mmHg、最低血圧が90mmHg以上をいいます。
 高血圧を放置すると、心筋梗塞や脳卒中など多くの疾病を引き起こすリスクが高まります。当院では、未治療の高血圧の方には、まず各種検査を行い、合併症の有無を調べます。
 高血圧が軽症の場合、生活習慣の改善方法をお伝えし、治療計画を立てます。それでも血圧が下がらない場合、血圧を下げる薬を組み合わせて、治療を行います。
 高血圧が重症の方につきましては、ただちに生活習慣病の改善と薬物療法を組み合わせた治療を提案する場合があります。血圧の目標値を医師と相談の上、治療計画を立てていきます。

まずは自分の血圧を知りましょう

 血圧が上がる要因は様々です。塩分のとり過ぎや喫煙、飲酒、ストレス、睡眠時無呼吸など、血圧は自分の生活習慣に起因します。
 高血圧の治療は、自分の血圧を知ることから始まります。毎日でなくてもかまいませんので、自宅でも血圧を計測してみてください。血圧は1日の内で変動が大きいため、診察室で測る血圧の値だけでは、正確な状態が把握できないからです。特に、まず朝起きた時に測ることをお勧めします。
 血液検査、尿検査、レントゲン、心電図、心臓超音波検査、眼底検査などを行います。
高血圧の方には、高血圧の原因として特殊な病気がないかどうか採血などで確認することがあります。次に、糖尿病や高脂血症、腎臓病などの合併がないかどうか、採血や尿検査を確認します。また、心臓の機能が保たれているかどうか、心電図や心臓超音波検査を用いて調べます。血管の状態について、眼底検査や頸動脈超音波検査を行います。

 

 血圧を上げる要因は?

 血圧を上げる要因は主に以下の8つが挙げられます。

1.塩分のとり過ぎ

塩分のりすぎ

 高血圧の要因として一番有名です。高血圧症の方は6g未満が推奨されていますが、日本人の平均食塩摂取量は1日10gを超えており、多くの高血圧患者さんでこの1日6g未満という目標が達成できていないのが実情です。
 塩分をとり過ぎると、血液中にナトリウムが溜まり、そのナトリウムが血液の浸透圧を一定に保つため、血液中の水分を溜めます。これにより、結果的に体内を循環する血液量が増え、血圧を高める原因になっています。

2.喫煙

喫煙

 喫煙は血圧を上げる作用があります。たばこに含まれる化学物質が、体内に吸収され血管の収縮を促されるからです。さらに動脈硬化や狭心症、心筋梗塞のリスクも高まります。そのため、高血圧症の方が喫煙することは非常に危険です。
 当院では、禁煙外来も行っています。保険を適用し禁煙の確実性を高める治療を行うことができます。禁煙されると、脳卒中や心臓病のリスクも低下し、4~5年の禁煙でたばこを吸わない方と同等のリスクになるとも言われています。

禁煙外来サイトへ

3.肥満

肥満

 肥満者は、正常体重の方に比べて、2倍から3倍多く高血圧症になるといわれています。肥満になると、インスリンが過剰に分泌され、血液中のナトリウムが増えます。このナトリウムが血管内の水分量を増やし、結果として血液量が増えてしまうため血圧が上昇します。
 また、肥満の方は過食により塩分もとり過ぎてしまうため、どうしても高血圧になりやすいです。
 肥満が原因の、最高血圧160mmHg程度の高血圧症であれば、5kg程度の減量で正常化する場合もあります。高血圧の改善には、減量が欠かせません。

4.飲酒

飲酒

 一般的に、飲酒後、血圧は下がりますが、起床時の血圧は上がります。起床時に血圧が高い方が、心筋梗塞や脳卒中を引き起こしやすいため、適度な飲酒に留める必要があります。また、常習的な飲み過ぎは、血圧を上げるとともに、血圧降下薬が効きにくくなることがわかっています。臨床研究においても、飲酒制限によって血圧が低下したことが示されています。
 お酒の飲み過ぎは望ましくありませんが、少量の飲酒は問題ありません。限度を守って適度に飲酒をしましょう
■適度な飲酒とは
 男性:1日エタノール30ml
 ○日本酒1合
 ○ビール1本
 ○ワイン2杯
 ※女性はこの量の半分

5.運動不足

運動

 一般的に、運動習慣のない方はある方に比べて高血圧になるリスクが高いです。プールでの歩行やウォーキングなどの適度な有酸素運動は高血圧予防に効果的です。激しい運動をする必要はありません。また、心臓病や糖尿病網膜症のある方は、激しい運動は避ける必要があるため、医師が判断します。

.ストレス

ストレス

 人間はストレスを持つとそれに抵抗するため交感神経が働き、血圧が上がります。ストレスが頻繁・長期的に起こると血圧が高い状態が続きます。そのため、ストレス解消も血圧コントロールには欠かすことができません。
 当院ではご自宅での血圧測定をお願いしておりますが、その結果がストレスの原因になってしまっているケースを見かけます。血圧は常に変動するものです。一喜一憂する必要はありません。「今日は仕事が忙しかったから血圧が高めだな」など、ご自身の健康のサインとして考えていただくとよいでしょう。
 ストレスに対する血圧の上がり方は人それぞれです。患者さんの性格や生活習慣も影響するため、それぞれに合ったストレス対処法を見つけましょう。

7.睡眠時無呼吸

睡眠時無呼吸

 眠っている時に気道が閉塞することで、何度も呼吸が止まってしまう病気ですが、睡眠時無呼吸患者は高血圧を引き起こすリスクが2倍以上に上がると言われています。また、薬物療法により血圧をコントロールできない「治療抵抗性高血圧」という病気の方は、高い確率で睡眠時無呼吸症候群を合併することがわかっています。
 当院では、睡眠時無呼吸症候群の検査から治療まで一貫して行うことが出来ますので、高血圧の治療と並行しながら進めることが可能です。
睡眠時無呼吸症候群サイトへ

8.急激な温度差

急激な温度変化

 寒いと血管が収縮するため、冬や気温が低い時には血圧は高くなります。例えば、室内であっても、暖房のきいた暖かい部屋から寒い部屋やトイレへ行く際の温度変化にも注意が必要です。特に冬のお風呂は要注意です。熱いお湯がはられた湯船につかった瞬間、もしくは温まった体で寒い脱衣所に異動した直後は急激に温度が変化します。脱衣所や浴室は可能な限り暖かい状態にし、かけ湯で体を温めてから入浴するようにしましょう。
 急激な温度変化は急な血圧上昇につながります。少しの外出や、わずかな移動であってもしっかりとした防寒対策を心がけましょう。

 高血圧の治療は?
 高血圧であると診断されると、まずは治療計画を立てます。すでに心臓病や糖尿病、腎臓病、糖尿病などの病気があるかも調べます。
 高血圧が軽症の場合は、まず薬で血圧を下げることは行わず、血圧が上がる原因を探り、食事療法や運動療法を行います
 食事療法では、減塩や魚の積極接種を指導します。運動療法では、医師の判断の元、有酸素運動などの適度な運動を勧めます。お酒を控える、禁煙も効果的です。これらの生活習慣を改善しても血圧が下がらない場合は、薬による血圧降下を検討します。
 高血圧が重症の方には、ただちに生活習慣病の改善と薬物療法を組み合わせた治療を提案する場合があります。その際、血圧の目標値を医師と相談の上、治療計画を立てていきます。
 食事の習慣づけをしましょう
 高血圧の方は自分でも気づかない内に、血圧を上げるような食生活を送っている可能性があります。例えば、お昼にラーメンとチャーハンセットを食べ、夜は飲み会が多い、というような食生活を送っている方は、間違いなく血圧は高くなってしまうでしょう。
 まずは自分の食事の内容や仕方を思い出し、見直すことが大切です。次のようなことを習慣づけて、食事をしていきましょう。

薄味を心がける
 自分の求める味の濃さは日々の食事でおのずと定まってきます。外食が多い、コンビニでご飯を買うことが多いという方は、家のご飯の味付けを外のご飯と同じにしていては危険です。まずは塩分や調味料を減らし、薄味を心がけましょう。
塩分以外で風味づけをする
 「薄味のご飯は物足りない」という方は、だしや海苔、ネギやショウガなどの香味野菜、ごまなどで風味をつけてみるのはどうでしょうか。
ラーメン、うどん、そばは汁を残す
 ラーメンやうどんなど、麺の中には既に多くの塩分が含まれています。そこでさらに汁を飲んでしまうと塩分が多くなり過ぎてしまいます。症状がひどい方はラーメンそのものを控えていただくよう指導させていただきますが、普段の食生活でラーメンの汁を飲んでいるという方は、まずは汁を残してください。
 高血圧の方へ
 高血圧症は自覚症状がない上に、病院へ行くと「心筋梗塞や脳卒中などの合併症について厳しいことを言われるんじゃないか」、「薬漬けにされるんじゃないか」と不安になり、クリニックへ足が運ばない方がいます。
 当院では、まずは治療の見通しを持っていただけるよう、治療計画をご説明しますもちろん合併症などの説明もいたしますが、病気の恐ろしさを使ってわざと怖がらせるようなことはしません。
 あくまでご自身のやる気を高められるよう、食事療法や運動療法等をお勧めします。長期的な目標を持って治療を続けた場合、血圧の改善がみられると、ご自身のやる気にもつながります。まずは生活習慣を改善して血圧を下げましょう。
 ただし、高血圧症が重症な方には、生活習慣病の改善と合わせてただちに薬物療法を提案する場合があります。これらをどう組み合わせていくかは、医師と相談し決まります。