「睡眠でお悩みの方へ」
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に一時的に呼吸が止まってしまう病気です。
睡眠中の自分の状態は誰も分かりません。患者さんのほとんどは、家族に指摘されて、初めて寝ている間の無呼吸に気が付いたと言います。
実際、検査・治療を受けていない潜在患者が多くいる病気です。この病気の恐ろしいところは、日中とても眠くなったり頭痛を伴うだけでなく、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの合併症を引き起こすことです。「もしかして、睡眠時無呼吸症候群かな?」と思ったら、すぐに医療機関へご相談ください。当院の院長は睡眠時無呼吸の専門科である呼吸器内科専門医ですので、適切な検査・診断・治療を行うことが出来ます。
「検査は自宅で行えます」
睡眠時無呼吸症候群の検査は、一般的に、自宅で鼻や指にセンサをつけて行う簡易検査と、入院して脳波を計測するポリグラフ検査がありますが、当院では、簡易検査を自宅で行うことが出来ます。簡易検査は、指先、呼吸のセンサをつけて、血液中の酸素や呼吸の状態を測定します。これにより、10秒以上の無呼吸・低呼吸の数や酸素の低下状態が診断できます。また、この検査には健康保険が適用されます。
- 睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?
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睡眠時無呼吸症候群は、眠っている時に気道が閉塞することで、何度も呼吸が止まってしまう病気です。
全国に、300万人以上の潜在患者がいると言われています。
この病気の恐ろしいところは、自覚症状がないところで、実際に本人ではなく、ご家族が無呼吸に気が付くこともかなり多いのが特徴です。
睡眠時無呼吸症候群によって、日中の眠気、頭痛、生活習慣病などを引き起こす可能性のある病気です。 - 主な症状は?
- ○寝ているときの症状
・いびきをかく
・いびきが止まり、大きな呼吸とともに再びいびきをかきはじめる
・呼吸が止まる
・寝汗をかく
・何度も目が覚める
○起きたときの症状
・眠たい、すっきり起きられない
・頭が痛い
○起きているときの症状
・強い眠気がある
・だるい
・集中力が続かない
・いつも疲れている
○その他の症状
・睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことがある
・肥満や糖尿病、高血圧である - 睡眠時無呼吸の原因は?
- 睡眠中に呼吸が止まってしまう原因は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、「呼吸の通り道(気道)が物理的に狭くなる」もの、2つ目は、「呼吸中枢の異常」です。
1.気道が塞がってしまう(閉塞性睡眠時無呼吸タイプ)
睡眠時無呼吸の患者さんはほとんどが該当します。気道が狭くなる原因としては、首や喉まわりの脂肪沈着や扁桃腺肥大などが挙げられます。これは生まれつきの骨格の大きさにも関係します。よく、「仰向けに寝るといびきをかくが、横向きになるといびきが止まる」という患者さんの話を聞きますが、これは仰向けで寝たときに気道が狭くなっている証拠です。
2.呼吸中枢の異常(中枢系睡眠時無呼吸タイプ)
脳から呼吸をする指令が出なくなる異常で、睡眠時無呼吸症候群の中でもまれなタイプです。閉塞性睡眠時無呼吸タイプと異なり、気道は開いたままで、一生懸命呼吸しようと努力する症状や呼吸しにくそうな様子がみられません。 - セルフチェック をしましょう
- Q.こんなことはありませんか?
□いびきをいつもかく
□睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことがある
□目覚めが悪い
□いつも眠い・居眠りをする
□だるい・疲れる
□仕事に集中できない
□起きた時に頭痛がする
以上の項目で☑が当てはまる場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
- 簡易検査を受けるまでの流れ
- ①クリニック受診→問診し、睡眠時無呼吸の可能性がある場合、検査を提案する。
②自宅へ直接もしくは郵送で検査機器を送付する。自宅で夜間に、鼻の下と指にセンサをつけ、就寝中のいびきや呼吸の状態から睡眠時無呼吸症候群の可能性を調べる。
③検査器を返送
④来院していただき検査結果を説明(最短で3週間後)
検査結果が睡眠時無呼吸症候群であると判断された場合(検査結果でAHI数値が40以上である)治療の開始となります。
AHI数値が40未満の場合は、ポリグラフ検査を行うことができます。入院して検査を行う必要があるので、近隣の連携病院を紹介します。ポリグラフ検査でAHI数値が20以上であれば、治療の開始となります。
- 治療法について
- 睡眠時無呼吸症候群の治療方法は、一概にどの治療方法が優れているということはなく、重症度や原因に応じて治療方法が選択されます。
当院では、呼吸器内科専門医が個々の患者さんの症状・状態に合わせて最適な治療方法をご提案します。睡眠時無呼吸症候群の治療は長期的に行うことが多いため、主治医としっかりと話をして、ご家族にも理解を得てもらうことが大切です。
治療には、対症療法といわれる症状を緩和させる治療と、根治療法といわれる根本的に原因を取り除く治療があります。いずれも個々の患者さんの状態に合わせて治療をご提案します。
- CPAP治療(在宅持続陽圧呼吸療法)
- 日本国内で最も一般的な治療方法です。Continuous Positive Airway Pressureの頭文字をとって、CPAP(シーパップ療法:経鼻的持続陽圧呼吸療法)と呼ばれてます。
寝ている間、鼻にマスクを装着してもらい、CPAP装置から空気を気道へ送り続けることで気道を開いたままにしておくものです。
検査の結果、睡眠時無呼吸症候群であると診断された場合、機器を保険診療下で貸与いたします。CPAP治療を始めて、慣れるまではうまく眠れないことがありますが、機器の設定を変えたりマスクの装着方法をやり直すことで改善することがあります。CPAP治療を受けるには、定期的な受診が必要です(月に1度程度)。治療を始めてみて、困ったことや不安なことがありましたら、定期的な受診の時に、直接相談してください。 - マウスピース治療
- 睡眠時無呼吸症候群の症状が軽微な方の場合、マウスピースで治療します。就寝中に装着することで、下あごが前方に出すよう固定され、気道が広く保たれいびきや無呼吸の症状を抑える効果があります。マウスピースの作成は専門の歯科医師か、患者さんのかかりつけの歯科医師が作成可能であればかかりつけ歯科医師へ紹介します。
マウスピースをつけるだけなので、CPAP治療に比べ簡単ですが、効果の表れ方に個人差が大きい治療法でもあります。症状や検査結果から最適な治療法を提案いたします。 - 手術
- 睡眠時無呼吸症候群の原因を根本的に取り除こうとする治療で、気道を塞ぐ部位を手術で取り除くものです。小児の多くや、成人の一部で、睡眠時無呼吸の原因が「アデノイド」や「扁桃腺肥大」、「のどの形」である場合、手術による治療をご提案します。重症だから手術をするというわけではなりません。当院では手術はできないため、近隣の病院をご紹介いたします。
- 生活習慣の改善アドバイス
- 睡眠時無呼吸症候群の原因の一つに肥満が挙げられます。肥満気味の方の場合、首・のど周りの脂肪がつき、気道を狭くしている可能性があります。そのため、肥満を改善するために管理栄養士が食事指導や栄養指導を行います。生活習慣を改善したり、減量するアドバイスも行います。
- 当院の治療の特徴
- 当院は、睡眠時無呼吸症候群を専門とする、呼吸器内科の専門医のクリニックです。
患者さんの状態や症状に合わせて、最適な治療をご提案します。治療をはじめてから、体調の変化や、不安なことや困ったことがあれば、いつでもご相談ください。わずかな体調の変化や治療状況とその効果、症状を確認させていただくことも、今後の治療方法に役立ちます。
睡眠時無呼吸症候群の治療は、長期間に及ぶ場合が多いです。診療の時には可能であればご家族にも同席していただくことで、病気への理解も深まるのではないかと思います。
適切な治療を行うと、日中の眠気や疲れなどの症状がなくなるだけでなく、高血圧などの合併症を予防したり改善することができます。「もしかして眠れていないのかな?」と不安に思ったら、早めに受診していただくことをお勧めします。 - その他の睡眠障害について
- 睡眠時無呼吸症候群以外に、不眠の原因はいくつかあります。
- むずむず脚症候群
- 眠ろうとすると、足にむずむず感や不快感を感じ、入眠できない症状です。心当たりがある場合は、受診しましょう。
- 周期性四肢運動障害
- 夜間睡眠中に、自分の意思とは関係なく足や手がぴくついて何度も目を覚ましてしまい、深く眠ることができない症状です。
- 過眠症
- 夜に眠っているにも関わらず、日中に強い眠気が生じ、起きているのが困難になる状態です。
- 睡眠時随伴症
- 睡眠中や入眠中に起こる現象で、睡眠時遊行症(夢遊病ともいわれる)や、睡眠時驚愕症(睡眠時に突然起き上がり寝ぼけた状態で錯乱状態となる)、レム睡眠行動障害(レム睡眠中の夢が行動となって現れてしまう)などが挙げられます。
- 身体疾患や精神疾患を合併した不眠
- 頭痛や関節痛、神経痛、かゆみ、感染症、うつ病など体や心の不調から不眠症状が出現することがあります。不調の原因に心当たりがある場合は、早めに受診しましょう。
- 睡眠環境の問題
- よくない睡眠環境や、誤った睡眠習慣が睡眠を妨げている場合があります。
◎睡眠環境
騒音、寝る前にスマホを長時間見る、電気をつけたまま寝る、テレビやラジオをつけたまま寝るなど。
◎睡眠習慣
休日に寝過ぎるなど。毎日同じ一日のリズムに合わせて生活することが望ましいです。
◎嗜好品など
飲酒、喫煙、コーヒーなどのカフェイン類など。