喘息(ぜんそく)

喘息は早期治療が重要な病気です。

喘息は子供から大人まで切れ目のない治療が必要です

 喘息は小児から成人まで切れ目のない治療が必要な慢性疾患です。
 しかし、診断がなされなかったり治療を中断してしまっている症例を数多く経験し、「切れ目のない喘息治療」の必要性を強く感じていました。
 喘息は早期に治療を開始し、治療を続けないと症状が治りにくくなります。そのため、喘息の症状が現れた時から専門医の適切な治療を行うことが大切です。
 喘息の治療には、吸入ステロイド薬を使うのが一般的ですが、年齢によって異なる吸入方法の指導も重要です。吸入薬は内服薬と比べ吸入方法が複雑です。当院では、しっかりと吸入できるように医師、スタッフが実際に吸入方法を指します。

 

  • 喘息ってどんな病気?
  • 喘息の方は常に気道に炎症があります
  • 発作の原因になるものは?
  • 喘息の症状は?
  • どんなときに症状が出るの?
  • 喘息の治療はどんなことをするの?
  • 治療をしないとどうなるの?
  • 当院の小児喘息の治療方針について
  • 正しい吸入方法
  • 喘息が悪化しないために

 

 喘息ってどんな病気?
喘息ってどんな病気?

 「喘息(ぜんそく)とは気道の慢性的な炎症です」。呼吸の通り道である気道に炎症が起こり狭くなり、呼吸が苦しくなる状態(喘息発作)を繰り返します。喘息の人の気道は、症状がないときでも常に炎症をおこしており、健康な人に比べ気道が狭く、空気が通りにくくなっています。
 炎症が起こる原因は、体質に加え、ホコリやたばこ、ストレス、ペットの毛など人それぞれ違います。喘息の人は、わずかな刺激でも敏感に反応して、気道に炎症が起きて狭くなり、呼吸が苦しくなってしまいます。

 喘息の方は常に気道に炎症があります
喘息の人は気道が常に狭いです

 喘息の人の気道には、多かれ少なかれ、炎症があり、たんなどの分泌物も付着しやすくなっています。そして、健康であれば反応しないような、ちょっとした刺激にも敏感に反応し、気道の炎症がさらにひどくなり、気道もより狭くなってしまいます。
 気道の炎症が治まれば、刺激にも反応しにくくなり、喘息発作も起きにくくなります。そのため、長期間根気強く治療し、炎症を抑えて発作も起きにくくすることが必要です。

 発作の原因になるものは?
発作の原因になるものは? 喘息を発症させる要因は人によって様々です。一般的には、以下のものが考えられています。

・廃棄ガスや工場排煙などによる大気汚染
・食品や住宅建材などの化学物質
・ストレス
・ハウスダスト
・ペットの毛やフケ
・花粉
・たき火
・ダニ
・たばこ
・風邪や体調不良
・激しい運動
・天気や気圧の変化 など
 喘息の症状は?
 喘息の症状はさまざまです。息苦しさや、呼吸時に「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という喘鳴(ぜんめい)などの他に、咳だけの喘息もよく知られています。「ゼーゼーしないから喘息じゃない」ということはありません。
 以下の症状が続いている方は、一度受診してください。治療せずに放置すると、気道の炎症が悪化して、発作の頻度が多くなったり、症状が重くなることがあります。
①息苦しい、せき込む
②呼吸時に「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音がでる
③走ったり運動をした後、せき込んだり息苦しい
④夜間・早朝に咳や息苦しいという症状が出やすい
⑤喘息症状で夜間、目が覚める
 どんなときに症状が出るの?
 喘息は、一日のうちでも変動があることが特徴であり、夜間から朝にかけて起こりやすいです。また、次のような時に、喘息の症状が起こりやすい傾向があります。
①夜間、早朝
②風邪をひいたとき
③天気がよくないとき、台風など気圧に変化があるとき
④疲れているとき
⑤発作を引き起こす刺激に触れた時
 喘息の治療はどんなことをするの?
 喘息治療は、「症状が起こらないように毎日行う治療」と「症状や発作が起きた時に行う治療」の二つに分けられます。小学生以上の多くの方は基本治療として「吸入ステロイド薬」を使用することとなるでしょう。
 喘息は「毎日治療を続ける」ことが大切です。喘息症状がないときでも、気道の炎症は続いており、風邪やハウスダストなど炎症を引き起こす刺激が加わると、再び症状が現れてしまいます。そのため、喘息は、「症状がある時だけではなく、毎日治療する」ことが大切です。
 また、アレルギー検査などを行い、喘息の原因となる刺激物質を調べる必要もあります。刺激物質は人それぞれ違うので、普段の生活の中で刺激になっていると思われるものを考えてみましょう。「猫を飼っている人の家に行くといつもくしゃみが出る」とか、「掃除をすると鼻水が出る」など、わずかな変化でも構いません。
 治療をしないとどうなるの?
 喘息の症状(炎症)が起こると、気道はその炎症を修復し元に戻ろうとします。症状が軽ければ治療をしなくても元に戻る場合もありますが、発作を繰り返すうちに完全には元に戻らなくなり、気道炎症を起こした狭い状態のまま悪化してしまいます。空気の通り道である気道が狭いままになるので、呼吸機能が低下します。炎症が改善されるまで、治療を続けることが大切です。
 当院の喘息治療の方針について
 喘息のガイドラインにのっとって治療を行います。「吸入ステロイド薬」を使用することが多いです(小児喘息については後述します)。症状の程度によって、薬を増やしたり減らしたりし、最終的には「発作が起こらないようになり、健康な人と変わらない生活を送ること」を目指して治療します。また、吸入薬は内服薬と比べて吸入方法が複雑であり、吸入方法を間違えると効果が期待できません。また、年齢によって異なる吸入方法の指導も重要です。当院では、吸入方法を医師、スタッフで正確にレクチャーします。吸入治療で気を付ける点は、
①毎日吸入を続けること
②吸入を正確におこなうこと
③吸入後はうがいをすること
吸入後口の中にカビが生えることがあります。必ずうがいをしましょう。
④症状の引き金となる刺激を避けること
 当院の小児喘息の治療方針について
 小児喘息のガイドラインにのっとって治療を行います。小児喘息の始まり方として典型的なのが、「風邪の後に咳が治まらない」「風邪をひいたときにゼーゼーヒューヒューいう」です。5歳以下では、基本治療としてまずアレルギーの薬を飲み、コントロールできない場合に吸入ステロイド薬を加えることが多いです。
 乳幼児の肺や気管支は成熟しておらず、ただの風邪でも、ゼーゼーが聞こえたり、咳がなかなか治まらないことがあります。そこで1回だけでは診断せず、3回目くらいのゼーゼーの時に喘息としての治療を開始することが多いです。ただ、RSウイルスやヒトメタニューモウイルスといったもともとゼーゼーの出やすいウイルスもありますし、ひどい咳が続く百日咳やマイコプラズマ感染症など、喘息と迷う場合も多いです。一方で、アレルギーの存在や、夜間や明け方の喘鳴が長期間続くなど、初回の受診時でも喘息と考えられる場合もあり、結局は病気の経過や、家族に喘息がいるかどうか、アレルギー検査、薬への反応性などを含めた、総合判断となります。 
 正しい吸入方法
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 喘息が悪化しないために
吸入は毎日続けましょう
喘息治療では、吸入ステロイド薬などを毎日使用し、気道の炎症を常に抑えて、喘息発作を予防することはとても大切です。
自分のアレルゲンを知りましょう
自分がどんなときに発作が起きるか考えてみましょう。人によって、刺激物質となるアレルゲンはさまざまです。発作が起きた時の状況を思い出し、それらに合わせた対策を実践することが大切です。一般的にはハウスダスト、ダニ、イヌ・ネコの毛等が多いです。血液検査である程度調べられます。
タバコはやめましょう
タバコは喘息発作を誘発する刺激物質です。タバコを吸うのはやめましょう。また、受動喫煙も喘息発作の原因となります。家族に喫煙者がいる場合、禁煙していただくか、喫煙場所を分離してください。
花火、たき火の煙に注意
花火やたき火などの煙も喘息発作を引き起こす刺激物質です。花火やたき火は、少し離れた煙の来ない位置で見て楽しみましょう。
ペットのフケや毛を避ける
人によって、アレルゲンになる物質は異なりますが、ペットの毛やフケは、多くの喘息患者さんのアレルゲンとなっています。それらがアレルゲンとなっている場合は、そのペットを手放すことが一番望ましいですが、それが難しい場合は、まず毛やフケを吸わないように、居住スペースを分けてみましょう。生活を工夫することで、これらのアレルゲンにさらされる機会を減らしてみましょう。
風邪をひかないように気を付ける
小児のぜん息の場合、風邪がきっかけで喘息を誘発するケースを多く見かけます。その多くがウイルス感染症です。風邪を完全に防ぐことは難しいですが、予防接種をする、マスクをする、しっかり睡眠をとり生活習慣を整える、などにより、可能な範囲で予防を心がけましょう。
部屋の家具を見直しましょう
部屋の布団やソファ、じゅうたんについている、ハウスダストやダニは喘息患者にとっては刺激物質です。部屋や布団の掃除をこまめにするよう心がけましょう。また、じゅうたんをなくしてフローリングにしたり、ソファを布製から革製に変えるなど、適切な対策をすることでダニ対策をすることもできます。