夜尿症

おねしょって、治るの?

おねしょって治るの?

 小学校にあがる前(5歳)になっても、1ヶ月に1回以上のおねしょが3ヶ月以上続く場合を「夜尿症」といいます。5歳以上の子の場合、既に「恥ずかしい」という思いがあるので、親御さんも心を痛めている場合があります。
 「おねしょは治りますか」とよく聞かれますが、小学校を卒業する頃までになくなる方がほとんどですが、成人まで続く方もいます。その悩みは決して小さくはありません。
 夜尿症の原因はいくつかあり、便秘や水分の摂り方、遺伝的要素などで、生活習慣の改善や薬で治る方もいますが、継続する方もいて人それぞれです。
 おねしょの原因についてはまだ完全に解明されていなかったり、原因には複数のことが考えられるため、「こうすればおねしょは治る」という決定的な方法は、ありません。
 5歳を過ぎてもおねしょが続く、昼間もトイレに間に合わない方は、一度ご相談ください。

夜尿症の原因
 寝ている間に作られる尿の量が多すぎたり、膀胱に尿を十分にためられないことが関係しています。
 夜尿症の場合、膀胱が尿であふれそうになっても起きられないため、寝ている間に尿漏れをしてしまいます。
夜尿症の治療
 まずは生活習慣の改善から始めます。排尿記録表を記載していただき、お子さんの夜尿の原因を一緒に考えます。その他にも、薬物療法、アラーム療法などの、治療法があります。
夜尿症は、自然治癒することが多いです。実際に、小学生のお子さんでも年に15%の子が自然治癒しています。しかし、生活指導を行うことによって、自然治癒するまでの期間を短くすることが可能です。
生活習慣の改善
 治療の第一歩は、生活習慣の改善から始めます。
☑早寝、早起きをし、規則正しい生活をする
 治療の始まりは、生活習慣を正すことです。これにより、安定した睡眠リズムも得られます。
☑日中は水分をしっかり摂り、夕食後はコップ1杯程度までに
 寝る2時間前から、水分は摂らないようにしましょう。
☑寝る前にトイレに行く
 寝る前にトイレに行き、膀胱から尿を出しておきましょう。この時、残尿感があるかどうかも大切です。
☑夜中、無理にトイレに起こさない
 トイレを癖付けようと、無理に起こす必要はありません。夜中に起こすと睡眠のリズムが崩れ、睡眠が浅くなり、睡眠が安定しなくなるので逆効果だと言われています。
☑寝ているときの寒さ(冷え)から守る
 寒さはおねしょを誘発することが多いです。冬は暖かい布団にするなど、体を冷やさないようにしましょう。
☑塩分を控える
 塩分の摂りすぎは、喉の渇きから水分を過剰に摂ってしまうことに繋がります。スナック菓子やファストフードは出来るだけ控えましょう。
☑牛乳を控える
 牛乳は栄養が豊富ですが、摂りすぎは膀胱の尿を貯める機能を阻害したり、ホルモンの分泌に影響を及ぼすことがあります。学校の給食で毎日牛乳は出ていますので、それ以上に過剰に摂取する必要はありません。
☑おねしょをしなかった時はほめてあげる
 お子さんの自尊心を守るために、非常に大切なことです。「なんで出来ないのか」と焦ってしまうこともありますが、出来るだけ焦らずに、おねしょがなかった朝は、たくさんほめてあげてください。お子さんの自信にも繋がります。
 おねしょは眠っている無意識の時にしてしまうものなので、トレーニングや本人のやる気で改善できるものではありません。
 「叱らず、焦らず、比べず、ほめる」ことを大切にしてあげてください。
行事のお泊りについて
 夜尿がある場合、園や学校の宿泊を伴う行事には「行きたくない」というお子さんもいて、親御さんがとても心配になります。宿泊行事の対策としては、
 ☑ 先生へ相談し、一時的にトイレに起こしてもらう
 ☑ 夕方から水分をあまり摂らない
 ☑ 寝る前にトイレへ行く
 ☑ パジャマのズボンを、色の濃い厚手のものにしておく
 ☑ 布団の上に敷くシートを持っていく
 ☑ (幼児の場合)周りから気づかれないよう先生に配慮をお願いした上で、寝る前におむつをはかせてもらう
大切なこと
 夜尿症は、発達の問題で、当の本人が一番悩んでいることです。夜尿は、無意識の内にしてしまうものなので、本人にもどうすることもできません。
 親御さんも、お忙しい毎日を過ごされていると、ついイライラしたり焦ったりすることがあると思いますが、本人にとっては、プレッシャーがかかってしまい、逆効果となることがほとんどです。年単位の長期戦になる覚悟で、「焦らず、怒らず、比べず、ほめる」ことを大切にしてあげてください。