
「お酒を飲みすぎてしまう・・」というお話をよく聞きます。お酒は「楽しく飲む」のが基本ですが、一番大切なことは「自分に合った飲み方」を知ることです。
日本人は欧米人に比べて、お酒が弱いと言われています。お酒に対する強さは、遺伝、体重差や男女差、年齢差などによっても異なります。
体重の多い人は酔いにくいので注意!
体重の重い人と軽い人が同じ量のお酒を飲むとどうなると思いますか?体重の重い人ほど血液量や水分量が多いと考えられますので、血中のアルコール濃度は薄くなり、その分酔いにくくなり、過剰に飲酒してしまう傾向にあります。しかし肝臓の処理能力は体型では変わらないため注意が必要です。
女性と男性、どちらが酔いやすい?
一般的に、女性は男性よりもアルコールの影響を受けやすいです。
例えば、女性は男性より少量の飲酒でも、アルコール依存症や肝臓障害を起こしやすいです。
さらにその後の治療の経過も、男性より女性の方が悪くなりがちです。
「若いころから飲酒量は減っていますか?」
年齢を重ねるほどアルコールの分解機能も低下し、体の水分量も減るため、酔いやすくなります。若いころから飲酒量が変わっていない方は、一度、見直してみましょう。
実は、退職などを理由に、お酒の量が、逆に増えてしまっているという話を聞くことも多いです。自分の時間に余裕ができたり、人との関わり合い方に変化がでることも、要因かもしれません。
実はとても怖い、「飲酒の転倒」!
高齢者の飲酒の中で、特に危険なこととして、「転倒や事故」が挙げられます。実は、飲酒の転倒は受け身がとれないため、命にかかわります。救急外来でも、医師の中では飲酒の転倒で頭を打った方は、思いもよらない打ち方をしているかもしれないので、特に要注意とされています。
こんな時は飲まないで!「スポーツ・入浴・服薬中は要注意!」
スポーツ前後、入浴前後の飲酒が危険なことはよく知られていますが、薬の服用中の飲酒も危険です。
とくに睡眠薬や精神安定剤、風邪薬、解熱鎮痛薬、糖尿病などの薬には、お酒の影響で薬の作用が強まることが知られているものがあります。薬は、アルコールの影響がなくなってから服用するようにしましょう。個人差がありますが、ビール中びん1本(500ml)分のアルコールを分解するのに、男性ではおよそ2時間強、女性では3時間程度かかるといわれています。
僕が考える、「お酒とのいい付き合い方4箇条」
① すきっ腹で飲まない・・胃が空っぽで飲むと、すぐにアルコールが吸収され胃に直接ダメージを与えます。
② ゆっくりと食事と一緒に・・食事とともにゆっくり飲めば、満腹になりやすく飲み過ぎの予防にもなります。
③ 休肝日を作る・・週に2日程度の休肝日を作り、肝臓を休ませましょう。
④ 強いお酒は薄めて飲む・・ウイスキーや焼酎など、アルコール度数の高いお酒は胃腸への刺激が強く、血中アルコール濃度が早く上昇するので酔いが回りやすく、肝臓への負担も高まります。水などで薄めて飲みましょう。
一番大切なのは「自分に合った飲み方」で「ルールを決めて」飲むことです。
年齢・性別・病歴などを考えて、お酒と付き合っていけたらいいですね。
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