娘のぜん息について

娘のぜん息について

 私は、呼吸器内科の専門医であり、小児科も経験した医師です。このように複数の科を経験する医師は少なくありませんが、私の場合、この経験が喘息(ぜんそく)を深く学ぶことに繋がりました。喘息は、呼吸器内科医が専門とする病気ですが、子どもの頃から発症することが多く、小児科でもよく診られる病気です。

 実は私の娘も喘息です。1歳未満の頃から咳が多く、どこか息苦しそうな時もあり、「喘息っぽいな」と思っていました。小さいこどもの場合、風邪だけでもゼーゼーすることがあり、喘息と診断するのは意外に難しいです。ゼーゼーを何度も繰り返したり、アレルゲンに反応して息苦しくなる、薬の吸入や内服薬で改善するなど、総合的に診断します。

 私の娘の場合、1歳になり保育園へ行き集団生活が始まると、風邪をもらい体調を崩しやすくなり、咳で夜寝られないことが増えました。私は、子どもの様子から喘息と診断し、すぐに内服薬と吸入薬を処方しました。

 子どもが初めて大きな発作が出た夜、当直中の私に家族から電話で「子どもが、吸入しても息苦しくて起きてしまう。寝てもすぐに起きて咳をしてしまう。横になれないようだ。」と言われ、「寝られなくなるくらい息苦しいなら救急へ行ってくれ」と伝えました。当直が終わって帰宅すると、とても息苦しそうなわが子がいました。その後、車で救急へ行き即入院となりました。家族は、「夜泣きとの区別が出来なくて、そんなに悪いとは思わなかった」と言っていました。医師である私が見れば、子どもがかなりひどい状況であることは一目瞭然でしたが、家族がそれを判断するのは思っていた以上に難しいのだと痛感しました。

 子どもは11日間入院し、無事退院できました。入院中、共働きだった我が家は、祖母の力を借りてなんとか乗り切ることが出来ましたが、仕事をしながら泊まり込みの看病、多床室で安眠できない疲れ、上の子のフォロー、子どもの症状がよくならないことへの不安などで心身ともに疲弊し、医師になって初めて入院中の家族の大変さを痛感しました。私の娘の場合、たった11日間でしたが、これが長期間の入院となると、精神的にも肉体的にも、かなりしんどいだろうと思います。

 娘はその後も何度か入院しましたが、3歳になってからは入院することなく、喘息はある程度落ち着いています。これは、成長によるものではありますが、生活面でもいろいろ注意しています。娘の場合は、特に風邪や気圧の変化、煙などで誘発されます。風邪をひき始めると出来るだけ無理をさせず、治療のレベルを上げたり、花火やたき火は避けました。以前家族で花火大会へ出かけ、花火の煙で咳が止まらなくなったことから、「これから花火を避けよう」と学んだのです。喘息で大切なことは、それぞれの子どもで違う「喘息を誘発するもの」を知り、それらを避けることです。

 喘息の治療として娘がしているのは、毎日の吸入と薬の内服です。内服は、抗アレルギー薬を1日1回服用しました。吸入に関しては、1歳の子どもに吸入させるのは大変で、テレビを見せたりおもちゃを持たせたり、なんとか興味をひいて吸入させましたが、1日2回(発作時は発作用の吸入も)の吸入は何が何でも継続しました。娘も大きくなり、吸入方法も変わりだいぶ楽になりました。こういった、年齢によって異なる吸入方法の提案や指導も大切です。当院では、医師やスタッフが吸入指導を行います。

 呼吸器内科医の経験と、小児科医の経験、そして喘息を患った娘を持つ親として、十分に説明を重ねることで、患者にもご家族にも寄り添える医師を目指していきたいと考えています。


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2019年11月23日