当院でも、様々なお子さんが予防接種を受けますが、その多くが公費の助成を受けることが出来ます。公費の助成を受けると、自己負担は軽減され、ワクチンによっては、無料、もしくは半額前後で接種することが出来ます。
予防接種は、予防医療においては最も効果的な方法です。水ぼうそうやポリオ、結核(BCG)など、国内で流行した話を聞かないのは、ほとんどの方が予防接種を打っているからです。
一方、がんを発症し抗がん剤治療を受けたり、骨髄移植を受けたお子さんは、回復後に治療前にあったワクチンの抗体がなくなってしまうことがあります。そのため、ワクチンを再接種しようと思うと、一度助成を受けていると、再び公費の助成を受けることが出来ず、高額な接種費用の壁が立ちはだかります。
予防接種は、自費で接種する場合、1回の費用が1万円を超えることも少なくありません。
ワクチンの中には、複数回接種しなければならない予防接種も多いので、自費で全ての一般的な定期ワクチンを接種するとなると、恐らく総額が20万円を超える金額になるでしょう。そもそも予防接種はワクチン自体の納入価が高いので、どの医療機関でも接種費用にそれほど大きな差はなく、金額を下げることが出来ないのが現状です。
名古屋市では、骨髄移植手術などの医療行為により、既に接種した予防接種の免疫が失われた方に対し、予防接種の費用助成行っています。名古屋市は、3月から全国に先駆けて帯状疱疹のワクチンの助成を始めるなど、予防接種に関して積極的に取り組んでいる印象です。(→名古屋市のHPへ)
実は、再接種の費用の助成はすべての自治体で行われているわけではありません。しかし、今後そのような声がさらに強まれば、助成を行う自治体がさらに増えていくと思います。
10月から、ロタウイルスの定期接種も始まります。(ロタウイルスは助成を受けても自己負担で接種費用が2万円を超えていた)、家庭の経済状況によってワクチンを打てる方と打てない方が出てしまうのは非常に残念なことであったので、個人的にはこういった助成の輪が広がることは歓迎すべきことだと思います。
あとは、よく言われていることですが、おたふくかぜの予防接種の定期接種化も検討されるべきです。名古屋市では、おたふくかぜは1回目の接種については助成はありますが、自己負担が3,000円かかり、2回目接種は助成がないため、当院では5,000円かかります。
しかし、おたふくかぜのワクチンは、小児科学会でも、2回接種を強く勧めています。おたふくかぜは軽い病気だと考えられていますが、実は髄膜炎や脳炎などの合併症を伴うことが多く、難聴や精巣炎、卵巣炎などの後遺症を残すこともあるからです。
世界的にも、おたふくかぜは2回接種を定期接種していますので、今後定期接種になることを望むばかりです。
経済的な理由で接種できず、病気に感染してしまうお子さんやご家族がいなくなることを、強く願います。
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